作者の独り言 > 
夜中に鳴り響くチャイムの音

これは、
ある施設で流れる
恐ろしいうわさについての話である。


「施設で夜勤をしていると、
誰も居ないはずの玄関で
チャイムの音が鳴る」



このチャイムの音は
インターホンの音ではない。

玄関の前のセンサーが
玄関前の人影を捉えたときに
自動的に鳴る音だ。


もちろん、
その時間にそこを歩く人はいない。

玄関と言っても、
建物の3階の玄関であり、
一階の入り口には施錠がなされているのだ。


夜中に
そこを歩く人間は
誰も居ない。

それでも、
夜中にチャイムの音がするのだ。


この音について

職員同士でうわさが流れている。


「エレベーター内の隅に座っている男性が鳴らしている」


そう証言する人もいる。


霊感が強く、

昼間でもエレベーター内に

人が座っているのを感じると言う。


もちろん、

私はそんな人のことは見えない。



私は

チャイムの音を

鳴らしているのが

誰であるのか

知っている


むかし

この建物内で

なくなった

卓球の

ラケットが

鳴らしているのだ


そのラケットは

連れの

卓球の球を

探している



今日も

夜になると

チャイムの音が

鳴り響く


「ぴんぽ〜ん、ピンポ〜ン」

■ 2009年4月9日 ■

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