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しゃぶしゃぶと横浜巡り

ほんの二週間ほど前にシャブシャブに行ったばかりだが、
なぜかまたシャブシャブに行くことになった。

流石に相手は前回と違う。
妻よりも十四歳も若い未婚女性のKN氏である。

もちろん、二人きりでシャブシャブなどしない。
妻を含め三人で行く。

しかし、
なぜ、またしゃぶしゃぶなのか。
それが問題である。


もとはといえば、
「鍋を食べたい」と言うKN氏を食事に連れ出すことが目的だった。
なぜって、それは以前SH-12C ……アンドロイド携帯君…… のアップデートを行う際に借りたSIMが
推定1000円分くらいのパケット料を使ってKN氏に経済的損失を負わせた代わりとして食事でも奢るためだ。


といっても、鍋は固くて食べられないので、
鍋料理のひとつであるしゃぶしゃぶで妥協していただくことにした。

自称雨女というKN氏だが、うちのは晴れ女だ。
当日はきっと曇るだろう。



桜木町はワールドポーターズにあるしゃぶしゃぶ屋、しゃぶ葉。

KN氏が選んだお店でランチを頂く。


なぜしゃぶしゃぶをランチなのか。
まず、KN氏は酒を飲まない。
そしてこの日は休日で夜は混みそうだし、
昼食なら食後にエネルギー消費も出来る。
なにより昼間のほうが料金が安い。

そう、とにかく昼が良かったからランチなのだ。


と言うことで、11時の開店に間に合うように駅前で落ち合い、
そのままワールドポーターズへと向かった。


ワールドポーターズは一昨年来た以来だ。
ということを到着して店内を眺めたら思い出した。
なんだかだだっ広くて、確かにこんなところだった。
もう少し狭く作ってくれないとしゃぶしゃぶ屋を探すのが面倒だ。


ふらふらと移動し、しゃぶ葉はほどなくして見つかった。
現在10時50分。
あと十分くらい、開店まで店の前で待つ必要がある。

すでに何名か店の前で待っているので、
やはり時間前に並んでおいたほうが安心というものだ。


ふと見ると、しゃぶしゃぶ屋の通路を挟んだ反対側にアイスクリーム屋がある。

なんとかと言う店で、大理石の冷たい台の上でアイスをこねて作る店だ。

今調べたところ「アイスクリームショップ コールド・ストーン・クリーマリー」という店らしい。

そこで、なにやらキャピキャピとした家族連れがアイスを買っている。
モーニングとピエロ服を足して2で割ったような出で立ちの子供がダラリとアイスを持ち去っていた。

客層はともかく興味深い店だ。
でも、食べ放題のしゃぶしゃぶを食べる前に立ち寄る店ではない。

物欲しそうに見ている妻に対し釘を指すのも
夫としての重要な仕事だ。



11時になり店内へ案内されると、
そこは食材のコーナーのすぐ目の前の席。
食材をつまんでそのまま鍋に入れられるくらい近い。

食べ放題としてのポジショニングは悪くない。
食材を取りに来る人々の人間模様も楽しめるような良席である。

そして回りを見回せば、
開店と同時に店に入った客は十名程度。
食材の争奪戦にもならず、それでいて食材が放置されることもない程よい人数か。

「あれ?」
何だか見たことあるような客が店内をうろついている。

「あれってさっきアイス買ってた家族連れじゃないか…?」

さっきのアイスクリーム屋でアイスを買って食べていた子供が
ダラリとしながらしゃぶしゃぶの材料を漁っている。

食べ放題の前に買い食いとは、…中々の強者だ。

それはそうとしてしゃぶしゃぶを頂く。

しゃぶしゃぶ鍋にはスープが二種類。
ひとつははじめから決まっている昆布だし。
もうひとつは5種類くらいの中から選べるスープで、チゲ風のスープにした。

女性的には豆乳とかコラーゲンとかが入ったスープがいいんじゃないかと思ったのだが、
本人がチゲ風を選ぶのだからしょうがない。

自分は豆乳系のスープが良かったのだが、
現場では言わずにここに書くことにする。

具は好きなモノを適当に鍋にぶち込む。
しゃぶしゃぶだが面倒なので肉をシャブシャブとはしない。
鍋に広げて沈めて火が通った頃に勝手に食えば良い。

ただし、沸騰しないように火加減を調節したうえで…、だ。
沸騰したスープでシャブシャブなど、海原雄山氏に喧嘩を売るも同然である。


しゃぶしゃぶ自体はそれなりにおいしい。
しゃぶしゃぶだけなら前回のかごの屋よりも好き勝手できていいかもしれない。
かごの屋は新しい肉を頼むたびに"肉が薄く小さく"なる店だった。
肉の切り方は味に直結するのだから、
一皿あたりの枚数を減らす等の対応のほうが望ましい。

しゃぶ葉では肉の切り方は変わらなかったように思う。
もちろん枚数も変わらない。
ただ、スープが二種類ある必要性は感じない。
結局タレを付けて食べれば左程変わらないし、
そもそも使い分けるのがめんどくさい。


しゃぶしゃぶ以外の部分ではかごの屋のほうが良かった。
サイドメニューにも食べ放題のものが多数あり、
唐揚げやらが意外と美味しかった。
アルコール類もある程度揃っている。


総合的に見れば、
酒を呑むなら「かごの屋」、飲まないなら「しゃぶ葉」。
なんだかあえて書くほどのことはない結論だがそういうことだ。
実感できてよかった。



しゃぶしゃぶ屋を出て、
そこらへんの横浜をうろつくことにする。

観覧車に乗りそこねながら海沿いを歩いていると、
「工作船」という文字が目に入った。
何やら展示を行なっているようだ。

北朝鮮ぽいネーミングだなぁと思いながらそこへ行くと、
まさに北朝鮮の工作船が展示されていた。

海上保安庁の施設であり、
いつぞや日本の了解に侵入し自爆した工作船を海から引き上げ展示しているようだ。

中に入り工作船の実物を見学した。
日本の漁船を改造したような感じの船で、
なんだか特殊な装備が色々と付いている。

しかし、この工作船に使われている鉄板の薄いこと。
見るからにペラペラである。
その割りに武器はいろいろと積まれているように見える。

確かに、日本に来るならば装甲は薄くてよいだろう。
日本からの攻撃が如何なる物であるか、それを北朝鮮の工作船が示している。
実に嘆かわしい。



そのままふらふらと移動し山下公園に着くと、
そこでは大道芸をやっている人が何人か居た。

その中の一人が何やら面白そうなことをしている。

まず、多関節の人型人形が自転車のサドルだけのような小さい椅子に乗っている。
観衆は、その人形を好きなポーズに変えて椅子に乗せ、お金をカゴに入れる。

そうすると、
その人形の後ろにいる芸人 ……人形と同じ服装の…… が
人形が座っている物と同じような椅子の上で人形と同じポーズを取るのだ。
要するに、人形と同じポーズを取って見せるという大道芸だ。

人形の脇には、「楽なポーズに変えてください」というようなメモもおいてある。
明らかにくだらないが、地味に面白い。

無理なポーズを指定すると、代わりに実演させられたりするようだ。

道具を用意するのは簡単だろうが、
それを盛り上げるためのパフォーマンスが難しい所なのだろう。
それなりにネタを仕込んでおかないと続かないはずだ。

どんなポーズを取らせようかと考えていると、いつの間にか妻とKN氏がいなくなっている。
先にどこかへ歩いて行っていまったらしい。

置いてけぼりというやつか。

二人を探して先に進むと、妻から電話がかかってきた。
「どこに行ったの」

どうやら、二人は先に行ったのではなく、
観衆の中に溶け込んでいただけらしい。
例の大道芸を見ていて気がついたら二人だけになっていたとのことだ。

今度からはもう少し目立つ服装で出かけてもらいたいものだ。



更にうろつくこと数分。
マリンタワーの足元まで来た。

マリンタワーはいっとき経営不振で営業を終了したが、
外観をシルバー系の色に塗り替えられて2009年に営業を再開している。

紅白の頃は灯台というイメージが大きかったが、
シルバーになると違う感じになってそれはそれでよろしい。

記念に一階で展望フロアへの入場料を確認して出た。
いい思い出になった。



近くには中華街がある。
そういえば、今年になってから中華街で食事をした覚えがある。

3000円くらいでコース料理がペースを考えずにでてくる店だった。
それなりにおいしい感じだが量が多すぎる店だった。
店員さんは中国人らしく、うまく注文が伝わらないこともあるが
全体としてまあそれなりだった。


それはそうとして、その時入った店がどこなのかわからない。

びっくりするくらい客引きが激しくまた乱立している甘栗屋を避けながら
その店を探してうろつくこと数分、
普通に中華街を通り抜けた。

特にお腹も減っていないし、誰も気にしない。

むしろ雨が振りそうな空が気になる。
確かに夜は雨が振るような予報を見た記憶がある。


夕闇も迫るなか横浜駅へ向かって歩く。
洗濯物を干しっぱなしで来たというKN氏は帰る気満々である。

しゃぶしゃぶをたくさん食べたし夕食まで一緒に食べるつもりは無いらしい。
素直に別れて帰ろう。



自宅の最寄駅につくと雨が降っている。
ディズニーランド台風直撃を曇りに変えた妻の晴れパワーも
夜まで持たなかった。
自称雨女の呪いは全開だ。



これを書きながら気がついたが、
アンドロイド携帯君の新しいアップデートが公開されているらしい。
またKN氏にSIMカードを借りて更新しないといけない。
今度はケーキバイキングで釣り上げることにしようか(何
と、ここで本人に対し予告をしてみるテスト。

■ 2011年12月19日 ■

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