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博物館へ行ってきました

博物館
歴史・芸術・民俗・産業・自然科学などに関する資料を
収集・展示して一般公衆の利用に供し、
教養に資する事業を行うとともに
資料に関する調査・研究を行う施設。

先日、そんな博物館に行ってきた。
横浜にある神奈川県立歴史博物館という博物館だ。

なぜ博物館に行ったのかといわれても、
これと言った理由があるわけではない。
知り合いから誘われたため行くことにしたのだ。

知り合い
そう、同じ職場の30代の女性だ。
その知り合い曰く、博物館のチケットは頂物らしい。

今回向かう博物館の展示テーマはこれだ。
「瓦が語る−かながわの古代寺院」

瓦…。恐ろしいほどに興味がない。

日程調整を行い、この展示の最終日に出かけることになった。

この日程調整をする際に、あることが分かった。
彼女は細かい計画を立てるのは苦手らしい。
いや、休みの日まで計画を立てて動きたくないと言うことらしい。


「家を出るときにメールくれればいいから」
日付と行き先以外は不明である。

確かに、家をでる時間は彼女の方がだいぶ遅くて良いはずだ。
でも、こちらとしてはいつ家を出ればいいのか分からない。
朝…か?きっと朝から出かけるのだろう。
予定は未定だが、きっと何とかなるのだろう。


当日の朝、メールを送った。
「9時まえに家を出て電車で向かいます」
かなりアバウトだが、この先はあちらが側で合わせてくれるのだろう。
ある意味細かいことを気にしなくて良いので楽なのかもしれない。

「家を出たの?電車に乗ったの?」
今頃になって微妙に細かい。
「家を出たところですよ」

そんなやりとりをしながらも無事合流。
なんとなく、最近この人に対する見方が変わってきた気がする。
今日もなんだかいつもと違う感じだ。
どこが違うんだろう…。

神奈川県立歴史博物館は桜木町と関内の間くらいにあるようだ。
電車を乗り継ぎ桜木町に着いたが、博物館がどっちかは知らない。
計画は立てないほうが楽と言う彼女にあわせ、地図などは持ってこなかった。

「たぶんあっち」
どうせ博物館などと言う建物は目立つのだ。
歩いていればきっと見つかる。

とりあえずあっちに進んで…、
まっすぐ進みたいけど信号で進めないからこっちにわたって…。
…。
たぶんこの建物が博物館だろう。
どこと無く歴史博物館という感じの建物だ。

入り口の階段に赤い絨毯が重々しく敷いてあるが、
歴史的な建物の様なのでそんなこともあるのだろう。

中はひっそりとしている。
展示室の入り口までちょっと歩く必要があるようだ。
いかにも昔の建築物と言う内装の廊下は、
幾度もの改修を重ねているように見える。
昔は電気も通っていなかったのだろう。
ロウソクの後がどこかに残っていそうな、そんな建物だ。

「トイレの入り口が自動ドア」
なぜ自動。
入り口でさえも手で開けるドアだったぞ。


展示には常設展と特別展とがあるらしい。
展示室の入り口まで来て気がついた。

このチケットは常設展用なのか特別展用なのか。
どうやら特別展のようだ。というか常設店にも入れるチケットらしい。

瓦。
瓦と言っても日本のお寺に使われていた瓦に焦点を当てているようだ。

たしかにチケットには「古代寺院」と書いてある。
あまりにも興味が無かった為頭がそこまで回らなかった。
きっと、心にじ〜んと染み入る瓦の展示があるだろう。


展示を見て分かった。
丸瓦、平瓦、鬼瓦、軒丸瓦、軒平瓦。
寺院の瓦はそういった物の組み合わせで構成される。

瓦の模様には法則のようなものがあり、
それらを分類していくことで寺の繋がりや
建てられた時代などが推測できるらしい。

たとえばこんな名前の瓦がある。
「珠文縁単弁八葉蓮華文軒丸瓦」
つまり、「縁が珠文で、単弁の八葉で、蓮華文な軒丸瓦」と言うことだ。

意外とそのままマナネーミングである。
名前を見ると大体どういう瓦か想像がつくようになった。

博物館は恐ろしい。
全く瓦などには興味がなかったのに、こんな無駄知識を人に与えるとは。


特別展はある種 面白かった。
隣の常設展も見てみよう。


常設展はなにやら横浜の歴史を集めたような展示内容だ。

黒船やら関東大震災やら、昔の生活必需品などの情報が並んでいる。

展示物を眺めていると、
あるフロアにいた学芸員(?)の方が熱心に説明してくれた。

このお方、ちょっとびっくりするくらい説明が長い。
30秒くらいで終わるかと思って聞き始めたら、
10分以上かけて話をしてくれた。
話の中で、国外から見た日本や、日本国内の情勢、
日本政府(幕府)の国外へ対する意識など、
そこに展示されているものを漠然と眺めるだけでは分からない、
とても重要なことを教えていただいた。
この方の博物に対する興味のあり方がとても感心できた。

そのお礼(?)に、
展示されていた昔の銀行で使われていたという大天秤に関して、
実際に使うときの使用法や いまの展示方法の問題、
足りない部品、実際に使う為の展示方法などを伝えた。

博物と言うものは、いわゆる美術品や芸術品ではない。
美術品などは何の知識も無く眺めているだけでも美しい。
しかし、それを作り出した人物や、その時代背景などを理解することで
さらにその美術品の価値がわかるようになるだろう。
博物は美術品ではないのだから、見ているだけで感動するものは少ない。
その時代の文化や世情、歴史を理解しないことにはほとんど無価値だ。
その学芸員が、最近は子供たちが博物館に来ないと話をされていたが、
博物館が子供たちに敬遠される理由の一つとして、
「見ていてもなんだか分からない」と言うことがあげられるだろう。
近年問題になっている小学生の理科離れもこれと関係があるように思う。
電子天秤など、電源を入れて物を載せれば重さを量れる。
そこにはどうして重さが量れるのかという疑問はあっても、
それに対する答えが含まれていない。
「圧電素子に対象の重さが加わることで電圧が発生し、
その電圧の大きさを調べることで対象の重さが分かるんだよ」
そんなことは分解したって分からない。
博物館にあった大天秤は違う。
左右の皿の重さが等しくなることでバランスが取れることや、
それを実現する為の基本構造、誤差を修正する為の機構、安全対策など
重さを量るということに対する必然性がすべて含まれている。
ただ、これは漠然と眺めているだけでは分からない。
これを実際に使える形で展示し、
その操作に触れることで分かるのではないだろうか。
なぜ天秤で物の重さが量れるのか、なぜこんな形をしているのか、
細かい部品はなぜ付いているのか、なぜ、なぜ、なぜ…。
大天秤には、一目見ただけでは分からなくても、
興味を持って接することで分かること、見えてくるものがある。
博物館でそういう感性を養うことに貢献できれば
それに越したことは無いだろう。

そのうち、大天秤が実際に使える形で展示されたら良いなぁと思う。


博物館では時間をとりすぎた。
食事をしなければならない時間をとうに過ぎている。

食事は怪しいジョナサンに入ることにした。
なにが怪しいって、看板が怪しい。

看板に「ジョナサン」とカタカナで縦に書いてある。
普通は「Jonathan's」などと書かれたロゴマークが描かれているはずだ。
本当に良く知られているジョナサンだろうか。

中に入ってみたら、普通のジョナサンでした。


ジョナサンで食事をし、次になにをするか考える。
とりあえず山下公園やみなとみらい周辺を
うろついてみようということになった。

うーろうーろ。

豪華客船が停泊している。
中を見てみたいが、勝手に出航したら困るので近づかないようにしよう。

みなと未来に移動したあたりで観覧車に乗ってみたくなった。
近くに言ってみると、とても高い。
観覧車の高さがではなく、800円という料金がだ。

でも観覧車に乗ってみた。

ギシギシと音を立てながら動く観覧車に揺られながら下界を眺める。
向こうの海に、さっきの豪華客船が出航していくところが見える。
中を見ていたら、本当にどこかへ連れて行かれるところだった。

ふと、なんでこんなところでこの人と観覧車に乗っているんだろうと
素朴な疑問を抱きながらも無事に乗ったときと同じ場所に降り立つ。

そういえば、乗降口付近に観覧車には車いす対応のゴンドラ(紫色)が
あるらしいことが書かれていた。
それを見てから帰ろう。

後学のために紫色のゴンドラがおりてくるのを待つ。
無人のウォーターコースターが流れるのを眺めつつ10分ほど待つと、
やっと紫色のゴンドラがおりてきた。

…。入り口の幅が広い!アレなら車いすでも乗り込めそうだわ!
「ほ〜」

そんなことをしながら、みなとみらいをうろつく。

うーろうーろ。

さまよいながらも横浜駅に着いた。

横浜駅に着いて電車に乗って…。
その後どうしたんだっけ。
途中で晩御飯を食べて帰った気がする。
大分記憶が怪しいぞ。

上大岡で何かを食べた気もする。
きっとそうだろう。


独り言は、事が起こってから
忘れないうちに書かないといけないことを再認識しました。

■ 2008年4月10日 ■

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