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新入りマック

マクドナルドの店員さんが、
店内で研修をしているところを初めて見かけた。



このマクドナルドには初めて入る。
いつも車で通過する道にあるマックだ。

店内はやや広めで、店内の一角をドナルドが陣取っている。
車で通りかかる際、このドナルドの放つ
異様な空気に食欲をそがれるお店だ。


そんなお店に妻と一緒に初めて入ったときのことだった。
夜ご飯の時間が遅くなってしまった為、
とりあえずマクドナルドで済ませることにしたのだった。


初めて店内から眺めるドナルドは、
外から見るほど異様ではなかった。
こんな門下と思わせるところがどことなく可笑しい。

店に入ったのは19時過ぎであったため、客は二人いるだけだった。
40代くらいの男性二人組だ。

建築関係のような風体であり、
普通にしゃべっているだけでも声が大きくうるさい。


少ない客も騒々しいのに、なぜか店内には別の声も響く。

20代くらいの女性店員が、さらに若い男性店員に仕事を教えているのだ。
その女店員が妙にハイテンションに指導している声が響いている。

店内は全く混んでいない。
確かに、現場で基礎を教えるタイミングとしては悪くなさそうだ。


しかし、マクドナルドの店員さんが店内で研修している姿は初めてみた。

注文の際も、男性店員は女性店員が対応している脇に立たされ、
「こんな感じでやるの」などと言われていた。


よく分からないが、指導されている男性店員は、
基礎の基礎から何も教わっていない状態でそこにいるようだ。

しかし、教え方もかなりテキトウな感じに見える。
マクドナルドはそれなりの研修をしてから
配属される物だと思っていたのだが、違うらしい。


それにしても、マクドナルドはどこで食べても
その味に大きな違いがないからよろしい。
場所によって味が違うと、安心して食べられないのだ。

混雑時にバーガーの重ね方が乱雑になったことはあるが、
そのくらいならば許容範囲である。


一通り店内のおおざっぱすぎる説明を受けたらしい男性店員は、
女性店員から次は1人で注文の対応をするように言われている。
独り立ちの瞬間を見ることにしよう。

妻に声をかけ、マックフルーリーを二つ頼むことにした。
マクドナルドの商品では珍しく、「注文を受けた人が作成する」一品だ。

きっと、教わりながらフルーリーを作るだろう。



注文を取りに行くと、予定通り男性店員が対応し始めた。

「マックフルーリーのオレオと、オレオ&ミントを一つずつ」

どんなフルーリーが出来るか、楽しみだ。

妻のミントフルーリーは女性店員が作っている。
「ここまでは普通の奴も同じだから」
「この機械にスプーンをさして、足下のこれを踏んでがーっとやるのよ」


女性店員はがーっとやっている。
客の見ている前で「ガーッとやるのよ」なんて説明をしていいのだろうか。
大企業とは思えないこの指導方法がほほえましい。

妻のオレオ&ミントは女性店員作だ。
私のオレオは素人のハンドメイドになるだろう。

男性店員は、女性店員に手取り足取り教えられながらも、
がーっとやっている。

「これでいいのかな?」
「はい、渡して〜」
女性店員はフルーリーのできばえすら確認しない。
最終的には放任主義なのだろうか。

男性店員の顔を見る限りでは、期待通りの出来のようだ。

どうなったか楽しみなので「それで良いですよ〜」と言いながら受け取った。
うむ。見ただけで分かる下手くそな作りだ。
ぐちゃぐちゃとしている。

フルーリーは混ぜているのだから
最初からぐちゃぐちゃじゃないかと言う意見もあるだろうが、
それでも上手な人が作ればそれなりに見えるのだ。
彼が作った物は、竜巻を上から見たような物体だった。

アイスの中央に空洞ができて、
砕けたっクッキーがゲチョッと混ぜ込まれている。
どこからどう見ても不味そうな失敗作である。

しかし、良くも悪くも味は普通である。
いつもよりクッキーが多い気もするが、
久しぶりに食べたからよく分からない。

そんな考察をしている間にも店員指導は続いている。
あっちこっち引きずり回して何か話をしている。
雑談なのか教えているのか分からない口調だ。

そんな店員を眺めながらフルーリーをほうばる。


フルーリーも残り少なくなった頃、あることに気がついた。

クッキーが無い…。
容器の底近くにはクッキーが混ざっていなかったのである。

初めにクッキーが多いと思ったのは、
均一に混ぜていなかったためだと言うことが判明した。

どうやら混ぜ方があまりにも下手で上下が混ざっていないらしい。
この程度なら自分の方がうまく作れそうだ…。

しかし、そんなひどい腕で作られたアイスも
とりあえず食べることが出来るように出せるのが
ファストフードの恐ろしいところだ。

普通の料理屋だったら食えたものではない。

今後の店員指導のために、
「上と下が混ざってないぞこの野郎!」
と店員にアタックすることも出来るが、
女性店員に引っ張りまわされながらワタワタと仕事をしているので
言わないで置くことにする。


何にせよ、久しぶりのマックは、
今までで一番楽しませてくれるマクドナルドだった。

■ 2009年10月1日 ■

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