作者の独り言 > 
休日の電車は客層が違う

いつもは帰宅するサラリーマンやOLでごった返す新宿駅も
休日となるとその姿は変わります。

サラリーマンやOLの替わりに休日をエンジョイする若者や
どこかへ遊びに行った帰りであろう家族連れなどの割合が多くなり、
改札付近を移動する人の群れの移動速度も
平日のそれとは明らかに異なります。

平日では見られないような
個性的な服装・態度の人間が多く存在する日
それが休日です。

その日も、個性的な人間は電車に乗っていました。

その人は一見すると二十代前半くらいの年に見え、
大学の帰りか遊びの帰りかわからないような
ちょっと派手っぽい服装をした女性でした。

私が電車に乗ったとき彼女はすでに車内にいて
私に背を向けた状態で吊革につかまり、
片手にバッグをぶら下げ、 文庫本のような本を読んでいました。

彼女を見るなり、私は彼女のことが頭から離れなくなりました。
それは、彼女に私の思考能力の半分を持って行かれたかのようでした。

彼女の動き、彼女の風貌、彼女のすべてが気にかかります。

「なぜだ、なぜなんだ…。」


「何でドラえもんなんだ!」

彼女は電車の中でドラえもんの漫画を読んでしました。
周りも見ずに、ただ一心不乱にドラえもんを読んでいました。

「なぜだ、他の漫画ならともかく、なぜドラえもんなんだ
10歳前後の子どもならともかく、
成人が電車の中でドラえもんか!?」

自分が読んでいるはずの文庫本の内容もまったく頭に入ってきません。

「ハイヒールを履き、ブランド物のバッグをぶら下げた人間が
電車の中でドラえもんを読むのか!
藤子不二雄のFの方だぞ!」←関係ない

そして、彼女による衝撃は、電車を降りるときにも起こりました。

彼女が見ていたドラえもんはハードカバーのドラえもんでした。

ハードカバーのドラえもんにも驚きましたが、
それをブックカバーもせずに電車の中で読める人間にも驚きました。

こんなにも人目の気にならない人間が見られるなんて、
休日に電車に乗るというのはいい物だ、
彼女のことは一生忘れまい…。

と、思ったことをさっき思い出しました。

inserted by FC2 system