奴を呼びだし、話をする機会がやってきた。
心不全になりながらも声をかけてから1ヶ月半。
彼女は今頃になってやっと時間を作ってくれた。
声をかけたときは簡単に引き受けてくれたが、
実際に話をする時間はなかなか作ってくれなかった。
声をかけた1月には「2月になってからで良い?」と言い、
2月中旬には「今月はもう終わりだから、今月中は無理」と言っていた。
もちろん、わざわざこちらから「あの話」はどうなったのと聞いて得た返答だ。
この人、どう考えても話をする気がないようにしか思えない。
仕事の話をしなければならないのだが、
そんな話をする必要はないかと思わせるほどにやる気を感じられない。
相手からは全くレスポンスの無い日が続いた3月上旬、
これで反応が無ければこの話は無かったことにしようと思いながら、
彼女が休憩をしているときにまた声をかけてみた。
「前の話は覚えてますか?」
「あー、再来週なら大丈夫かもしれないけど、
カレンダーを見ないと分からない」
どうやら、やっと時間を作れそうになったらしい。
今までに比べるとだいぶ具体的な話だ。
ただ、カレンダーを見ないと分からないなら仕方がない。
後でカレンダーを確認して返事をくれるだろう。
その日、彼女は何も言わずに帰っていった。
…家のカレンダーを見ないと予定が分からないのだろう。きっとそうだ。
明日は休みだが、明後日にはなにかしら反応があるだろう。
2日後の朝、彼女に会ったときに聞いてみた。
「あの話はどうなりました?」
「ん〜、カレンダーを見ないと曜日が分からないから…」
返答の構成要素は増えているが、話は全く進んでいない。
その日、奴は何も言わずに帰っていった。
次の日の朝、奴に合ったときに聞いてみた。
「あの話はどうなりました?」
「え〜と、曜日が分からないから…」
三日目にして話が進む様子はない。
その日、奴は何も言わずに帰っていった。
仕方がないので追いかけて呼び止めた。
「再来週というのはどうするんですか?」
「ん、あー、ちょっと待って(ゴソゴソ)」
奴は今更手帳を調べている。
「明日の仕事が終わってからならいいよ」
1ヶ月半もなんの反応もなく放置しておいて、
いざ聞いてみると明日。
明日、奴の勤務が終わるのは20時だという。
「…じゃあ、明日で」
仕方がないので明日にした。場所は近くのファミレス。
そういえば明日はホワイトデーだ。
奴に渡すプレゼントは当然用意していないが、
その日にあうならば仕方がない。何か用意しよう。
次の日、仕事が開けた彼女とファミレスで落ち合い、話をした。
どこからどういう風に話をするか、
どこまで話をするかでだいぶ迷ったが、
心不全に見舞われることも無く話をできた。
ただ、ドリンクバーを取りに行くときに毎回手が震えた。
話をするのがそんなに苦手かと愕然としたのは秘密だ。
話を始めたのは8時30分頃からで、話を終えたのは翌日の2時15分。
彼女は最初から話をさっさと終えて
さっさと帰ろうという気配が満々だったが、結局長くつきあってくれた。
思いのほか長時間話に付き合ってくれたが、
それでもまだまだ話し足りないことがある。
それはまた今度、次も時間を作ってくれることがあれば話すことにしよう。
そんな感じで、とりあえず話はする事ができた。
人を誘って話をするのって、以外と大変ですね…。
3ヶ月分くらいの気力を使いました。
■ 2008年3月30日 ■