知らなかったんだ、
婚約指輪を渡さない人が3/4もいるなんて。
知らなかったんだよ。
そう、自分は婚約指輪を買ったんだ。
買わない人もいることは知っていたけど、
買うのが普通だと思っていたんだ。
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婚約指輪はプロポーズの際に渡すのが理想だ。
巷では結婚を決めてから二人で買いに行く事もあるようだが、
私は一人で買いに買いに行くことを選んだ。
一緒に買うのではなく、プレゼントするべき物だと思ったからだ。
1人でこっそり買いに行って、必要となったときにひっそりと渡すのである。
う〜む、それが良い。
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実際に店頭に行ってエンゲージリングを眺めること数日。
収穫は無数のカタログのみである。
どれもこれも、何となく決定打にかける。
何か、心に訴えるものが足りないのだ。
もちろん、買おうとしているのものは
ダイヤモンドのエンゲージリングだ。
枠はプラチナだ。
探し物は分かっているのに、
店頭で実物のリングを見てもしっくりこないのだ。
ティファニーも見たし、ミキモトも見た。
趣の違うお店を何度か訪れても、
求めるエンゲージリングは見つからなかった。
理由は何となく分かっている。
自分がその指輪を欲しくないのだ。
具体的に何か不満があるわけではなく、
その指輪を選ぶ決定的な理由が見つからないのだ。
何で選んだのか分からない物を、
愛する人に渡すわけには行かない。
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エンゲージリングを探しながら彷徨っていたある日、
ふと立ち寄った宝石店で目に留まる物があった。
指輪ではなく、裸のダイヤモンドだ。
まだ指輪になっていないダイヤモンド。
誰かが組み合わせたダイヤモンドと枠ではなく、
自分で選んだダイヤモンドと枠ならば、納得できる気がした。
「は〜、きらきらしてるわぁ〜」
その場で購入してしまった。
石だけ。
これがそのダイヤモンドだ。
クラウン側(平らな側)から見たもの。
クラウン側の斜から見たもの。
専用器具を使ってパビリオン側(とんがった側)から見たもの。
専用器具を使ってクラウン側から見たもの。
ダイヤモンドには、4Cと呼ばれる価値の基準がある。
大きさ、色、形、不純物の量だ。
例の鑑定書に記載されているアレだ。
指輪を作る際、大まかな予算は決まっているのだから、
あとは4Cのバランスをいかに撮るかという事になる。
この4Cを自分の好みのものに決めるには、
やはり石と枠を別に決めるのが一番なのだ。
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そんな感じで石だけ購入した次の日、
本人に石を見せる機会が出来た。
特に日付を決めていたわけではないのに、
自然とそんな機会が訪れた。
たまたま石だけ購入したことでタイミングを逃さずにすんだのだ。
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結婚すると言うことはなかなか難しいことであって、
石を見せて話をした後もいろいろとあった。
枠は作らないで…などとも言われたが、
1人でワクワクしながら枠を作りに出かけた。
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完成した婚約指輪はこれだ。
本人の趣味を考察すると、ごてごてした物は好きではない。
指輪もとってもシンプルな物にした。
いまいち良く分からないという人は、本人に見せてもらってください。
でも、完成した指輪は、すぐには付けてもらえなかった。
人生いろいろあるのだ。
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そんな感じで、実は1/4の人しか買わない婚約指輪を無事に購入したのだ。
石だけ購入して先に見せる人など、更に少ないだろう。
指輪も色々、人生も色々なのだ。
■ 2009年8月6日 ■