朝、会社に向かって歩いていたら、
犬に襲われた。
駅で電車を降りて5分ほど歩いたところだった。
突然、灰色の大型犬が駆け寄ってきたのだ。
犬には手綱が着いていない。
飼い主も見当たらない。
首輪がついているのかさえ定かではない。
わかるのは、
こちらへまっすぐ向かってくることと、
噛み付き防止用のマスクを付けている事だけだ。
尻尾を振りながら駆け寄ってきたその犬は
音も無く飛びついてきた。
むしろ抱きついて来たに等しい。
飛びついてきた犬は無駄にでかい。
噛み付き防止のマスクをされていなければ
顔を嘗め回されていたかもしれない。
抱きついてきた犬はワタワタとしている。
なんだかわからないが非常に困る。
飼い主は現れない。
犬の首をつかんで引き離すと、
実は首輪をつけていることがわかった。
野良犬ではないらしい。
首をつかんだまま犬を反対側に向け、
立たせたままわきの下から手を回して首輪をつかむと
犬はおとなしくなった。
飼い主は現れない。
そのままつかみあげて飼い主を探すには大きすぎるし、
警察に連絡するのも面倒だ。
お犬様も落ち着いた様子なので手を離すと、
もと来た方へ一目散に駆けて行った。
残されたのは、なんだかわからない焦燥感と、
犬の前足で汚された衣服だけであった。
■ 2009年12月7日 ■