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USBオーディオのデジタル出力における音量とは

USBオーディオに関して、以前から気になっていることがある。
パソコンでUSB接続されたオーディオ機器の音量のことだ。

USB経由でPCMデータとして送られているであろう音声、
この音量をパソコンのOSで調整する状況では一体どういうデータがUSBの機器に送られているのだろうか。

音量100%の状態から音量を下げる状況として……。
憶測1:PCMデータとして音量を下げる(分解能の観点から理論的に音質が劣化する)。
憶測2:PCMデータとは別に音量のデータが存在し、これが調整されることで音量が下がる(理論的には音質劣化なし)。
この2つのどちらかで音量が調整されるはずだ。

まあ、たぶんこのどちらも正解なのだろうと思っている。
USBオーディオの規格なのかデバイスの仕様なのかは知らないが、
対応していれば憶測2の手段で音量が調整され、対応していなければ憶測1の手段で音量が調整されるものなのだろうと想像している。


PCオーディオについてネットで調べると、WASAPI排他モードという言葉に出会うことがあるはずだ。
詳細は勝手に調べていただくとして、このWASAPI排他モードではOSによる音量調節が出来ないと書かれている場合がある。

そういう記述がある中で、手元にあるUSB DACはWASAPI排他モードでもOSによる音量調整を行うことができる。
要するに、憶測2の音量調節に対応していない機器ではWASAPI排他モードで音量調節が出来ないのだろう。
つまりは、憶測1で動作する機器と憶測2で動作する機器があるという回答に行き着くのだ。


と思っていたのだが、先日こんなネットの情報を見つけた。

ビットパーフェクトの落とし穴:WASAPI排他モードでPC音量をmaxにしてはいけない理由 [オーディオTips]

やはり、PCMデータと音量データの双方があるらしい。
これを確認するための機器が手元にないので実際のところはわからないが、示されているデータは信憑性が高そうに感じる。
記事には憶測2の裏付け的な要素が含まれていて、とても参考になる情報だ(ありがたや)。

合わせて、記事ではOSで設定する音量が100%だと(ソースによっては)不都合があることも書かれている。
個人的にも、楽曲によってWAVEデータの取る範囲が分解能のフルスケール付近にまで及んでいる箇所が多すぎるものがあるな……と以前から思っていたこともあり、これに対する回答にもなっていた。

データで表現可能なフルスケールの最大値付近を連続して利用する状況が続く楽曲は、やはりなにか音質上の不具合を含んでいる可能性が高いのだろう。
今後はUSBオーディオの音量も100%以外の値を試してみることにしよう。


−−余談−−
PCM音源は、分解能が16bitから24bitに移行する中で音量問題を解決するべきだったのではないだろうか。

16bitはダイナミックレンジで言えば96dBで、24bitは144dBだ。
フルレンジに対する平均的な音量を下げたとしても、24bitであれば十分すぎる分解能を得ることができる。
高音質というのはカタログスペックではなく実際に良い音が鳴らせるのかどうかということが重要だ。
高音質を目指すのであれば、フルスケールを多用する楽曲など制作するべきではないな。

まあ、平たく言えばオーケストラ等の楽曲では音が小さく感じるのは、この問題を理解した上でデータを制作しているからなのだろう。

逆に言えば、フルレンジ多様の楽曲は結局音質重視の楽曲ではないのだ。
フォーマットのハイレゾ化はあくまでもコマーシャル要因であって、音質の向上は副産物程度の価値しかなさそうだ。
実に嘆かわしい。

■ 2022年2月20日 ■

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